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2020.07.23 Thursday

1965 TRIUMPH T120R BONNEVILLE 兵庫県Hさんプチ報告その10

 兵庫県Hさんのボンネヴィル、前回の組立作業に於いて1965年来初めて分解するボルト&ナットに唖然とした…亜鉛メッキがギラギラ残る「布引重要文化財級」の素晴らしいモノでしたとご報告致しました。今回のエンジンの分解作業でもやってくれましたよ…

 

 皆さんはメーカーから出荷された直後のエンジンを分解した事ありますか?各ボルト類を取り外し軽く叩くだけで「コーーーン!」と簡単にクランクケースが割れるのです。それも走行距離の少ないことが条件、このエンジンってそうなんです...

 

  クランクケースの内面にご注目ください。1965年に製造されたエンジンでこんなに汚れていないなんて普通じゃありません。そして左側の汚れはエンジンの外、ドライブチェーンやスプロケットの油汚れ、これは当然あるモノ…

 

 普通1960年代からの汚れの場合洗油とブラシで洗っても頑固に汚れは落ちません。そして更に洗浄剤に一ヶ月くらい漬け込んで再び洗油とブラシで洗う…それが右側のクランクケース。ところが、左のHさんの方はブラシで洗浄するとスルスル汚れが落ちていく、まるで数週間前の汚れのように…

 

 この左側の穴はフレームに固定されるところ、1960年代から何度もエンジンは降ろされこのように跡がつく訳です…

 

 そしてこれがHさんのケース、この意味って分かりますか?…(左端にあるのはメーカー出荷前の傷、当時はこんなの普通にあります。)

 

 これはプライマリーチェーンケース側の後端、クランクケースとエンジンプレートとの固定のボルトが通る穴…

 

 そしてこれがHさんの同じ場所…双方共に一度も外された事が無い事を意味しています。

 

 ここはドライブチェーンがスプロケットにグングン廻される過酷な場所。チェーンのオイルが飛び散り汚れて当たり前の場所です。一ヶ月強かけてようやくこの美しさになりました…

 

 そしてこれがHさんの同じ場所、たった10分でこの美しさです…

 

 で、この辺りはこうしてドライブチェーンの当たった跡がつきます。(言っときますけど、このケースも現存するトライアンフの中では全然良い方です。普通はガリガリでもっと酷いんですよ。)

 

 そしてこれがHさんの同じ場所。チェーンの跡が全く無いって分かりますか?…

 

 普通ドライブチェーンが緩んだり、切れたりしてこの部分は大体欠損するんです。右の方が一部なくなっている…(リノルド社製のチェーンや当時のチェーンはよく切れる、入れてる人注意して)。

 

 そしてこれがHさんの同じ場所、欠損どころか当たった跡すらない。本来のこの場所の形状を初めて見る人も大勢いる事かと思います…

 

 エンジンを脱着する場合、傷をつけないような作業を全ての者がするとは限りません。いや、逆でほとんどの者がこうして傷を着けます(左のケース)。そして右がHさんのケース、脱着による傷は全くありません…

 

 とにかく開けた瞬間に「汚れてねー!」自然な錆の風体が高感度抜群なんです。赤い液体ガスケットもワニス系の当時のものですね。
 

 クランクのジャーナル部を計測すると「まったく減ってねー!」規定値の中でも優良数値、走ってないんだもの…

 

 コネクティングロッドの大端部のシェル、ホワイトメタルの摩耗もなく、丁度アタリがついたところ。当時のオイルからすれば非常に優秀な状態…

 

 これはクランクシャフトにあるオイルチューブのプラグ。御覧のように工具の跡もありません…

 

 チューブを取り外しますと、スラッジはあります。しかし、これ手前に寄って厚みがあるだけでこの後ろには殆どスラッジ無いんです…

 

 では結論です…アメリカ人のお父さんが若かりし頃に買ったはいいものの何十年もガレージの肥やしになっていた…それを息子が免許を持つようになって乗ろうかと…「これカッコ悪いから色塗り替えようぜっ!」と友人と一緒にチョッパー風にしようと改造初めて、更にペンキと刷毛と缶スプレーで塗り替えた…しかし、彼女ができたり大学行ったりで家を出て行く…おふくろさんが「もう邪魔よ、なんとかして!」それを私が手に入れた…どうですか?大体当たってるはずです、一応妄想です。

 

 で、ポイントは車体からエンジンを一度も降ろしてないところと、更に走行距離が殆ど無い事。中をみるとどう考えても1500マイル、3000キロ程度しか走っていない。これはですね、外的要因や金属疲労的に脆弱なブリティシュの場合には絶対的に有利な点です。例えばベアリンクを何度も脱着されたり、ネジを壊されたり、さっきのドライブチェーンによって欠損があったりするものは将来に向けてなにかと不安要素を抱える訳です(それは皆さんのブリティッシュもそうですよ)。しかし、Hさんの場合1965年に立ち帰れた訳です。外装を除いて車体にエンジンは走行距離1500マイルの状態。これはですね、望もうと思っても望めない事=「運」なんです。結局Hさんは今で言うところの持ってる人って事になりますね、良かったです。この後パーツを注文し届いてから再開致しますよ。松枝

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