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2020.05.15 Friday

1966 TRIUMPH T120R BONNEVILLE 山口県Kさんプチ報告その21

 寂しくたたずむKさんのぺトロールタンク…見ての通りカラーもデザインも冴えがない。おまけに塗装の一部が剥離し浮き上がっている。しかし布引お手軽倶楽部だから塗り替える予算はない。オーナーのKさんにそれとなく連絡すると「ん…塗装してください!」Kさん、塗り替えて欲しいと言ってくれましたよ。

 

 作業に取り掛かる前に各部を確認をする。そして内部は錆びている、そりゃぁ1966年製で50年以上も経ってるから錆びて当然のはなし。それでもブリティッシのタンクは今のバイクよりも鉄板が断然厚い。それは腐食的に随分と助かりこうして半世紀経っても使えてしまう事も多々ある。直ぐに穴が開いてしまう日本製の旧車とは対照的だ。

 

 それ以前では、中に石ころや鉄くずとかいろいろ入れて錆を取ったが、やった割には効果はないのが実情だった。今では高性能なケミカル類が発売されていてこのように素晴らしく錆はとれる。

 

塗装を剥がした後プラサフを塗る。一層目を塗り様子を見て二層目を塗る…そして乾かした後、水研ぎをし表面を整える…そして再び三層目を塗り乾かし水研ぎをする。プラサフは塗膜がガサツク傾向にあるので研ぎは必須だ。また、必要に応じてポリパテや最終的にグレージングパテを塗り、乾かし水研ぎし、更にプラサフを塗り水研ぎをし下地として完成させる…

 

 中塗りのアラスカンホワイト…おおよそ4層から5層程度塗る。必要に応じて水研ぎも入る…

 

 ラインのグラネイディアレッド…赤系のネタはやりづらく、どこの塗装屋でも割増料金を取る(笑)。塗っても透けるのは黄色も同じ、そしてブルーは湿度によってボケやすい。ソリッドの中でも赤は気をつけなきゃいけないカラーの代表だ。

 

 そしてゴールドのラインを入れた…この、それぞれのラインの幅や微妙なふくらみはトライアンフとして決まっている。だから忠実に当時の状態を再現している。当然の事これらの幅はインチサイズだ。


 そして、上塗りだ。塗膜の厚みを嫌う私でも、この最後の上塗りにはウレタン系の2液性を使う。それはガソリンが付着する場所に効果的で背に腹は代えられない。だが、更に高度な要求をする顧客にはウレタン系の塗料は使わない。ガソリンに侵されてもクラシック感を要求する強者には徹底したクラシックフィーリングを提供する。

 

 で、これはおおよそ5層程度塗り重ねる。今までのラッカーとは違いトラブルがない限り途中で水研ぎを入れない事が望ましいから、慎重かつ大胆に完成させる。

 

 1965年迄の通称クロスバッヂは業績不振を理由に変更される事になる。そして、これがその変更後の初代モデルである1966年製の通称アイブローバッヂだ。ここにも手の込んだ仕事をしたい…

 

 先ずは墨入れをした。アルファベットにはブラックを、バックの部分にはアラスカンホワイトとタンクと全く同色のネタを入れるところがミソだ。

 

 で、普通はラッカーだけで終えるものだが、少しでも塗膜に押さえが効くようにと今回はウレタン系の上塗りをネタの乗る部分のみに施した。このような墨入れの作業など単純な作業に見えるが皆さんも一度やってみるとその大変さが分かる。

 

 

 で、こうした一連の塗装作業とは正に長いトンネルを走り続けるかの如くだ。「よっしゃ!決めてやる!…」根性いれてガツーン!とやってる時間ではあるけれど、些細な事で不測の事態を招きかねない水物でもある。

 

 塗り込んで行く中でタレやホコリにブッが出ないようにと半ば祈るような時間でもあるし、これまでの長い下地づくりを考えると一発で決めなくては絶対にイケない気合の世界でもあるんだ…

 

   最早自動車メーカーの塗装では水性塗料が世界的にほぼ義務化される時代になった。未だである日本の塗装屋レベルにも近い将来義務化される事は必至。その時にはまた新たな試行錯誤が続く事になるだろう。エンジンや車体の自動車整備も奥の深い仕事であるけれど、この塗装の世界も勝るとも劣らない高度な技術が必要になる。

 

 そして、出来上がったタンクを見て当たり前のようにスルーしている皆さんに私は言いたい。皆さんがオーダーした愛車の塗装にはそれこそ長い下地作業と高度な塗装作業、更には仕上げの為の磨き作業が秘められている。

 

 だが塗装屋ってのは口下手で誰も自分から「凄いだろう…」なんて言いやしない。良い仕事が出来て当たり前の世界だと捉えられている。自分のスタイルを具体化されたお気に入りのぺトロールタンクに手をやり「ありがとう…」そう言ってくれる者が皆さんの中に果たして何人いるんだろうか…  ※塗装作業のご案内は→コチラ

 

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