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2020.09.11 Friday

布引ファミリーの皆様、御用はございませんか?…

 突然ですが、9月の末から10月の頭にかけて東京&東北方面に車両の引き取りに伺います。何かしらの御用ある方、マツエダまで直接メール又は電話にて連絡願います。メールは info@nunobikiclassics.com  電話は 090-8466-9959 よろしくお願いします。松枝
 

2020.08.15 Saturday

布引ファミリーの皆様「 2020夏、残暑お見舞い申し上げます…」

 コロナ禍に猛暑…お客様各位、如何お過ごしでしょうか?…布引クラシックスは暑さと闘いながらも鋭意作業に取り組んでいますよ…

 

 さて、お知らせその1です・・・

布引クラシックスも相変わらずの多忙を抜け切れず、更に忙しさは増すばかり…なので少しでも整備作業の時間を確保したい…そこで「オーナー様へのプチ報告」を中断する事に、これからはオーナー様へ直接写真に解説つけてのメール送信に致します…松枝と直接やりとりできるし、ばばばーっと雑に送信してハイ完了!(笑)。皆さんへのご協力をお願い致します…(ウソです、雑ではありませんよ…)

 

 お知らせその2…

現在とりかかっている主な車両の状況です。

・1966TRIUMPH TR6R 滋賀県Hさん 車体整備完了→エンジンの組立が本格的に始まります。

・1965 TRIUMPH T120R 兵庫県Hさん 車体の基本形完成→エンジンの完成目指します。

・1975 NORTON COMMANDO 850Mk3 エンジンの完成→前後のブレーキの完成を目指します。

この3台をメインに作業を行っています。作業の状況は直接個人宛てにメール連絡したします。

 

 お知らせその3・・・

そして、次に控えます方々です…

・1973 NORTON COMMANDO 850 長野県Sさん

・1966 TRIUMPH T120R 鹿児島県Sさん

・1954 TRIUMPH 6T 京都府Kさん

この3台もいずれ劣らぬ重作業ばかりですが頑張りたいと思います… お知らせその2の3台が完成後に順番待ち通りに開始致します。この皆さん方にも作業状況は直接メール宛てに連絡致します。もうしばらくお待ちください。

 

 お知らせその4・・・

完成した車両のうち納車がまだの方々へ…

布引クラシックスでは納車時に一日同行しての「布引流英国車実技講座日帰りスパルタ編」なるものをやります。実際に始動から走行迄ご指導します…しかし、この猛暑でははっきり言って出来ません!汗タラタラにのどが渇く…人車共に疲労困憊…なので納車は9月20日以降に致します。秋風がそよぐ爽やかな風と共にお勉強致しましょう…(これ本当です)。該当者の方には直接連絡致します。

 

 お知らせその5・・・

今年の晩秋に布引ファミリーでツーリングしたいと思っています。日頃一緒に走れない皆さんとも年に一度は一緒に走りたい…ずっと思っていました。そこで、元町の「丸玉食堂」で打ち合わせをしましょう…台湾料理食べてワイワイと行先に日時等を決めたりしたいと思います。丸玉食堂は→コチラ

で、ツーリングの例は以下です。

 

「丹後半島ばら寿司の旅?」コチラ

「王道の亀八食堂ツーリング」亀八その1→コチラ、亀八その2→コチラ

「フェリーで行く九州ツーリング?」コチラ

「山ちゃんと行く八ヶ岳ロックの旅?」コチラ 

それとも「布引流英国車講座実技編スパルタツーリング」コチラ 

 

布引ファミリーの皆さま、是非ご参加のほどを…

 

 お知らせ番外編…

因みにわたくしの愛車の近況を申し上げます…「九州&信州走ってやるーっ!」と申してましたが、現在アイソラスティックのラバーの交換時期を迎えたのを機に恒例の定期点検中。同時に前後のサスペンション(布引スペシャル)の再構築、ブレーキのモディファイ、更にエンジン全ての分解とモディファイ作業、そして外装の変更等行う予定です。ところが当然の事、皆さんの仕事が最優先、完成の予定も立たないバラバラ状態であります…で、地味に、こっそり、皆さんに気づかれないように…でも、とっても素晴らしいモノを作り上げるぞ!と、小さな声でお伝えしておきます…(ツーリングに間に合うのか?…) ※松枝の愛車作業は全て極秘、㊙です…(笑)

 

 猛暑見舞いのまとめ・・・

そして皆さん、この猛暑が過ぎ去り、いつの日かこの世からコロナがなくなり平和な世の中が再び訪れて欲しい…皆さんが爽やかな秋風を受けて思う存分に走れる日々が再び訪れて欲しい…心の底から願う今日この頃であります…今後とも布引クラシックスをどうぞよろしくお願いしたいと思います…2020.08.19 布引クラシックス松枝

2020.08.14 Friday

1955 BMW R50 東京都Y様 プチ報告その2

 東京のY氏のBMW R50、エンジンの組立作業開始しました…

 

 シリンダーは両側共に自然な摩耗の状態、まだまだ使用可能だ…

 

 前回のレストア時に交換したピストンも至極自然な状態、洗浄して異常がないか点検。リングやリング溝に付着するカーボンも丁寧に取り除き、更に各クリアランスを再点検(重要な作業)…

 

 因みに、右側がこのBMW R50のピストンで、左側がトライアンフの650のピストン。この剛性の違いは…

 

 これはトライアンフユニット650のコネクティングロッドでアルミニュウム製…

 

 そしてこれはR50のコネクティングロッドでスチール製…方や650cc、方や500ccとは言え同じモータサイクルなのにこれ程大きな違いがある…この設計的な思想の違いとは…(クランクケースの内部にチラッと見えてますが、コネクティングロッドのビックエンドも点検済、まだまだ大丈夫です。)

 

 シリンダーを洗浄しピストンを取り付けた。きれいになったピストンヘッド、10年間の垢もスッキリ!なんて気持ちよさそうなんだろう…

 

 このR50は、ピストンと同じくバルブへのカーボンの付着は少ない。粗方取り除き番手を変えて更に…

 

 奥が作業前、手前が作業後だ。ステムの振れもなく非常に状態は良い。

 

 バルブの当たりも問題ないが、やはり4本共に摺合せは行う…

 

 そしてバルブの当たり具合の点検だ。ガソリンを入れ漏れが無いかを調べる。

 

 分かりにくいけれど、ポートからバルブの当たりを見たところ(写真撮るの難しい)…少しの漏れもあれば再度作業はやり直す。4本共に漏れは皆無だ。

 

 そして、ロッカーアーム関係を取り付けた。各ガスケットは勿論のこと、プッシュロッド辺りのラバーなんかも交換している。粗方のバルブクリアランスを取り、エンジン始動後、及び試運転後の増し締めの後に再度とり直す。つづく…

 

2020.08.12 Wednesday

1955 BMW R50 東京都Y様 プチ報告その1

布引プチ報告とは・・・「へぇ〜こんなになってんだ…」愛車の作業状況を把握しこれからのモーターサイクルライフの糧にして頂きたい。それが「オーナー様専用参考書 布引プチ報告!」作業中のオーナー様是非ご覧くださいませ…

 

 東京のY氏のBMW R50、以前にエンジン、車体、電装系統と塗装以外のレストア作業をさせて頂きました。その節はありがとうございました… 過去のレストア作業は→コチラ。(ブログでは2012年になっていますが実際には2010年です)

 

 そして昨年の秋、私と八ヶ岳のロックでで待ち合わせ。はるばる布引クラシックスまで自走で来てくれました…偉い! 秋の信州ツーリングは→コチラ ロックは→コチラ

 

 前回エンジンをばらしたレストア作業が2010年、あれから約10年経ちました。で、Y氏は遠慮なしにガンガン走るタイプ、御覧のようにオイルのにじみが出始めたので車検整備と共に作業致します…

 

 バルブカバー外すと…まさしく2バルブ、このシンプルさが魅力。元航空機メーカーであるBMWの作るエンジンは素晴らしい、随所にその魅力が潜んでいるのです…

 

 シリンダーヘッドめくると…「うん…良く燃えてるな…」こうした低圧縮比のエンジンでは湿り気のあるカーボンだ堆積し真っ黒な事が常。だが、これだけ燃焼していれば上出来だ。

 

 スパークプラグの焼けも理想的、最も彼は若かりし頃、奥多摩でひざをすりながらの峠小僧。それ故にスロットルワークを始めとするライディングそのものが上手だ。良い状態のR50と彼の上手い走らせ方、そうした事がこの焼け方に反映されている。

 

 ピストンヘッドの状態も10年間でこれだけなら素晴らしい。ピストンの刻印もうっすら伺える状態だ。

 

 ピストンにシリンダーの状態も至極自然で好感度大。いつも「オイル交換してくださ〜い…」と、距離は走っていなくても期間で管理してくれるY氏には頭が下がる。いつもオイルをけちる皆さんも是非見習って頂きたいものだ。つづく…

 

2020.08.11 Tuesday

1975NORTON COMMANDO850Mk3 プチ報告その12

 コマンド850Mark掘⊆,魯アボックスの作業です。コマンドに使われるAMC社製ギアボックス、何時も言っているけれど素晴らしいモノなんですよ。しかし、1970年代にメードインジャパン達が台頭すると状況は変わる。今までのブリティシュには考えられないような変化が起こります…

 

 ギアボックスの多くは2本のシャフトに各ギアが対のレイアウト。上の長いシャフトがメインシャフトで右側のスプラインにクラッチのハブがついて(半分隠れている部分)、エンジンの力をここで受ける。向かって左が1stギア→2nd→3rd→スリーブギア。その下がレイシャフトで受ける側。

 

 ご覧ください、1970年代のF1のギアボックスのよう…素晴らしいです。で、上がクラッチを介してエンジンの動力を伝えるメインシャフト側。下がそれを受けるレイシャフト側、因みに手前が1stギア。そして右側で肩身の狭い思いをしているモノが各ギア位置の指令を出すセレクター系です。

 

 これがシフトフォークを介して各ギアに指令を伝えるカムプレート。今まで鉄板をガーン!と打ち抜いた跡がそのまま残っている状態だった端面がこのように平坦に加工される、上の面に磨きがかけられる、更に面取りまでされている…このような親切設計はこれまでのブリティシュになかったこと…感激です(涙モノ)。

 

 

 で、Mark靴任魯瓠璽疋ぅ鵐献礇僖鵑砲覆蕕辰謄縫紂璽肇薀襯好薀鵐廚採用される。左端の丸いボタンがスイッチの軸を押す事で接点がつながり→電流が流れ→インジケーターランプが点灯する。良く見ると直線的な摩耗が見えますね…

 

 溶接で肉盛りしこの後研磨&修正する…しかし、これは単なる摩耗じゃないんです…

 

 英国車史上初のニュートラルスイッチの完成度は低くトラブルが頻発する。その丸いボタンとスイッチの接触部分の設計が悪くニュートラル位置への操作感が悪い。そればかりか調整の具合によってはシフト操作そのものができなくなる恐れもある。正直無い方がマシです。

 

 アウターカバーの中はこうなっています。見えているのはシフト操作系統の一連。皆さんが一速だ二速だとやっている内側ではこれらが操作されています(グリスついてますが全て洗浄点検後の組立です、汚れているんじゃないんです…)。そして、Mark靴任六代の流れと共にシフトレバーが左になりました。この辺りシャフトなんかがそれ用に代わっています。

 

 これはインナーカバー、そのシャフトはドライブサイドに向かって延ばされる事に…この左の丸い穴はそれ用、なんとオイルシールがついてます。今までならば丸いオーリングで済ませる。しかもこの位置ならそれすら省略する可能性もあったのに…

 

 更に、AMC製ギアボックスで常態化していたスターターレバー軸からのオイル漏れ。「ここの漏れは仕方ないんだよ…」上にある貧相なオーリングではその要求を満たせない。しかし、それが立派なリップのついたオイルシールに変わるのです…

 

 で、突然変わりましてモディファイのはなし。AMC社製ギアボックスのウイークポイントであるレイシャフトのドライブサイドにあるローラーベアリング辺り。過去、なにかとトラブルの発生源となっている。ギアボックスを分解し取り外すとこのように抜けてしまう。不味い事にアウターレース自体が回転しケースの内面を摩耗させてしまう欠点がある…

 

 幸いにもこのMark靴任魯院璽溝Δ遼猝廚漏無でしっかりと嵌め合う良好な状態(Mark靴任呂修海旅篝も改良されている)。で、こうした時には必ず上側のローラーベアリング、その中でもインナーとアウターレース等が分離できスラスト方向に対してフリーに動けるものを入れる(メーカによって呼称が違う)、これが大切だ。こうすればケース側の内面をズレや脱着による疲労から守れる。更にレイシャフトの動きそのものにも自由度が増し今までの理不尽さを払拭できる。そして、こうしたベアリングの打ち換えは必ず加熱して行う事が常識だ。冷間でカンカンやっている作業とは尊いブリティッシュの存続に背いた行為そのものだ。

 

 このように1970年代のメードインジャパンの台頭によって劣勢であるコマンドも大胆な変更を実施した。シフトペダルをドライブサイドに移し、オーリングやシールの変更や新たな採用によりオイル漏れに配慮もした、更にコネクションの多いが故にシフトフィーリングの改善にも努力した。しかし、ニュートラルランプでは逆にトラブルを発生させる事に…でもね、それも「ブリティシュの粋」のひとつ、十分に理解すれば済む話しなんだ。 

 

2020.08.09 Sunday

1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 販売車両 プチ報告その11

 コマンド850Mark掘▲┘鵐献鵑寮鞍進めてます…

 

 ブリティシュでは、エンジンの右側をタイミングサイド、左側ドライブサイドと呼び、そのタイミングカバーの中にはカムシャフトの駆動システム、そして潤滑系統の要であるオイルポンプがあります。

 

 コマンドの歴史と言えばクランクケースとの闘いと言っても過言じゃぁありません。常にメインベアリング付近の破損に見舞われ改良を施すもののどの年式も出来はイマイチ。やっとの事で満足できるモノとなったのは最終モデルであるこの850Mark掘その強度もさることながら、当初から迷走していたブリーザー&ストレーナー辺りの設計もようやくまともになったんだ。

 

 

 これはカムシャフトを廻す為のスプロケットで、左下のクランク軸の上が駆動側で右がカムシャフト側、それをチェーンでつなぐ。で、真ん中にあるモノはテンショナーで新たにこうしてラバーが貼り付けられた、国際標準へと一歩近づいた瞬間だな…(分かり易いようにチェーン外してます)

 

 そしてチェーンを取り付ける…このチェーンの張りは少しばかり曲者、決められた数値に頼るだけじゃ結果は出ない…

 

 そして、左外側にオイルジャンクションブロックを取り付けた。中央にぽっかり空く不自然なスペースは過去にあったイグニッション等の取付位置だ。

 

 タイミングカバーとは只のフタじゃない、この中にはオイルラインがあってここから全てのオイルを供給するという重要な役目がある。で、このカバー自体もかなりの剛性アップを図っている。

 

 上にあるのかタコメーター用のドライブギアのハウジング、下にあるモノはオイルのプレッシャーリリースバルブ…
 

 これは、何らかの理由でオイルラインの油圧が規定を超えてしまった時にその圧力を抜くモノ。万が一の時に大きな破損を未然に防ぐ為のものだ。
 

 タコメーターのドライブギアは、シリンダー前方右側のこの位置。下にあるカムシャフト上でギアが噛み合いケーブルを駆動する。

 

 そしてタイミングカバーを磨いてみた。すこーし顔が写るくらいに留めて欲しい。何度も言うが鏡面仕上げではドン引きになってしまうんだよ…

 

2020.08.09 Sunday

1966 TRIUMPH TR6R 滋賀県H様 プチ報告その4

布引プチ報告とは・・・「俺の愛車どうなってんの?…」遠く離れているけれど「今日はこんな事してますよ…」心待ちにされてるオーナー様へ逐一状況報告を…「フムフム…なるほど安心だなぁ…」そんなコーナーなのです…作業をお待ち頂いているオーナー様各位、是非ご覧頂ければと思います…松枝

 

 これまでエンジンの作業をしていましたHさんのトロフィー。予定を変更し車体の作業を行いました。

 

 先ずはモーターサイクルの要・・・ステアリングです。チラッと見るとグリスが乾燥しヤバイ感じに…幸いにもレースやボールへのダメージはなく清掃、給油、及び調整をとります。

 

 重要なラグのステムを測定、曲がりもなく大丈夫ですね。そしてベアリングにグリスを詰めて元に戻します…

 

 ホイールを触ると「これは駄目だな…」取り外しました…

 

 両側共に寿命は過ぎている。過去に外側からグリスを押し当てて給油するも裏側はこの状態…しないよりはマシだけど、寿命の過ぎているベアリングは元には戻らない…

 

 こうしたベアリングにも、シールドの仕方に違いがある。金属でカバーするもの、ラバーのもの、更に接触させているものに接触させていないもの、状況に応じて選択される。モーターサイクルの場合、レーサー系のモノなら断然抵抗の少ないラバーによる非接触型がお勧めだ。しかし、一般道を走るブリティシュにはそれは全く必要ない。このオレンジ色のシールドベアリングのように最も防水性の高いラバーによる接触型が最適だ。

 

 フロントのハブ、ドライブサイドにはこうした薄いサークリップがつく。これは結構破損するものが多い。何らかの理由で取り付けられていなかったので、こうして取り付ける。

 

 納車された後、オーナーさんの仕事の一つがこれだ。ホームセンターでピカール買ってゴシゴシゴシ…ひと月ふた月すると濁ってくるから定期的に磨かなきゃならない。酷く濁らすと元に戻すのが大変になるからだ。しかし、鏡面仕上げのように磨き過ぎては下品を通り越して悪趣味になるので注意して欲しい。

 

 これはリア側のホイールベアリング、両側共に寿命だな…

 

 


 同じタイプのベアリングに交換する。これで前後全て接触型のシールドベアリングを入れた事になる。

 

 そしてブレーキ、リア側のライニングが摩耗しているので新たに交換する。同時にリターンスプリングも交換する(これ大事)。

 

 センタースタンドを立てた姿勢が下がってしまっているので、この機会にと修正を。取り外して溶接で肉盛りの上調整する。

 


 同時に見ておきたいモノがこのセンタースタンドにあるボルト類。これは皆さん気にしないけれど結構危険な車体も見かける。

 

 摩耗し、ナットが緩み、外れかけている。スタンドをかけた瞬間に「どっすーん!…」こうなる前に見ておきたい。つづく…

 

2020.08.07 Friday

1965 TRIUMPH TR6SR 三重県K様 車検整備報告

 

 以前、エンジンのレストア作業をさせた頂いた三重県のKさん、今回も車検整備をご依頼頂きました、ありがとうございます… 過去の作業は→コチラです。

 

 「一緒にプロップスタンド修理してください…」ここが壊されていると車体の価値に大きく影響してしまう。そして今回Kさんはその修理を頼んでくれた。このトロフィースポーツの為にも実に良い依頼だった… (※最後にあるプチ報告を是非ご覧ください↓)

 

 そしてこれからの2年の間、彼の使用に耐え得るようにと各部をリフレッシュ。後はオイルの交換に始まる基本的なメンテナンスを怠らなければ走れるようにと仕上げた…で、今回は彼の素敵な愛車1965年製のTR6SRを少し覗いてみましょう…


 パーセルグリッドにスタイリングストリップにフィラーキャップ、更にルーカス社製P700系のヘッドライトシェルと共に当時ならではのクロームな光景を醸し出す…(※Kさんへのプチアドバイス…ステアリングのラグにつく3/8"のピンチボルトがへクスキャップボルトになっている。これはナンセンス次回交換したいものですね。)

 

 メーターは1964年から変更になったスミス社製のマグネット式で通称「グレイフェイス」。連続して動くニードルは当時好評を博した。で、良く見るとタコメーターのニードルの回転方向がアンチクロックワイズ(反時計回り)になっている…(※Kさんへのプチアドバイ…傷み切る前にそろそろO/Hしても良いかと…) 


 これは…1962年以前や1966年以降と違い、そのドライブをカムシャフトの末端に直付けになった事に起因する…

 

 そして、にわかに議論を呼ぶケーブルの取り回し方、ゴタゴタ言ってもこれがスタンダードだ。で、アンチクロックワイズのタコメーターは1963のクロノ、1964及び1965のマグネットと合計3年しかないレアなモノ。誇りに思って良いかと存じます… (※Kさんへのプチアドバイ…メーターのマウンティングブラケット専用のボルトがポジドライブスクリューに変わっている。これ超恥ずかしい。メーターの写真のところ↑…)

 

 

 そして、ここがこのトロフィーのハイライト、やれたディップ&ホーンスイッチをご覧ください(左側)。これはルーカス社製の当時のオリジナル品、そこから出ているヨレヨレのワイヤー(配線)に注目です。このグレーの被覆と中のワイヤーも1965年製のオリジナル品、これ素晴らしいです。(※Kさんへのプチアドバイス…ディップ&ホーンスイッチを止めているスクリューからフラットチップに変えられている。これは大ナンセンス!無茶苦茶恥ずかしい)

 

 そして、キャブレター。皆さんもご存知のアマル社製の389、通称モノブロックキャブレターで口径は1-1/8"、オリジナルの389/97を今も死守しているところ二重丸です、Kさんエライ! 


 そしてグレートップのシート…なんだかカッコよくありませんか? 真ん中にありますね…

 

 近づいてみるとこんな感じ。これはセーフティーストラップと言いますが、近年のリプロ品のシートにはありません。よって現在殆どの車両にはセーフティーストラップが無い訳です。ご自分のシートにこれついてる人、大切にしてもらいたいと思います…

 

 そしてテール廻り、この一見ヘンテコなテール&ブレーキランプ、これが味噌です。この当時US仕様の多くはL679をこうして飛び出すような格好で取り付けてある、これこそが「US仕様の粋」なんです。因みにそこのワイヤーもこうしたS字を描くようなだらしない格好が基本。振動でワイヤーが切れてもそれはそれで仕方のない事、それもまた「粋」な訳です(苦笑い)。

 

 そして1963〜1965年の美学と言えばこのシンプルなリアホイールのハブです。スピードメーターのドライブギアも何も無いシンプルさが実に美しい、細いスイングアームと共に「アーリーユニット650の陰の美学」なのです。

 

 DUNLOP製のリムも残っていますよ、それも再メッキされていない状態で。このオリジナルのリムにある打刻は再メッキすると甘くなってその価値までも下がってしまう。極力再メッキするべきものじゃないと認識して頂きたいと思います…

 

 


 「ズンズンズンズンズンズン…チャッ…ズンズンズンズンズンズン…」 で、ユニット650とは1963年から1970年迄、その乗り味は全て同じじゃありません…1963〜1965のアーリーモデルでは実にふくよかな走りを見せます(マニア好み)。

 

 その最も大きな要因がずっしりと重量感のある真ん中のフライホイール、これが1963〜1965年モデルの深みのある走りの源…

 

 それが1966年モデルになるとカウンター成分を残しフライホイール成分を大幅に軽量化する…

 

 そして1963から1967までキャブレターはアマル社製389等のモノブロック(再び登場)。緩慢な趣ではあるもののアーリーモデルには外せないレギュラーメンバー…

 

 更に、彼のイグニッションシステムにはルーカス社製のコンタクトポイントブレーカー6CA(4CAがスタンダード)が鎮座し、この裏にはガバナー式の遅角装置(後の進角装置とは思想が違う)がある。で、私が1965年迄のモデルに無接点式のイグナイターを入れるケースはビギナーに限っている。彼のような既にこのトロフィーを走らせていた経験者の場合には断然機械式を勧める。理由は明白「ズォーーーーーン!…」と、アーリーモデル特有の走りに大いに貢献する秘密兵器だからだ。

 

 1960年代から1970年代へと進むにつれ出力も高くなり、逆にフライホイールは軽くなる。そしてキャブレターもレスポンスの良いモノへと変わっていく、それがトライアンフをはじめこの時代のモーターサイクルのおおよその変遷だ。「ズンズンズンズンズンズン…」と走っていたモノが「ズバズバズバズバズバズバ!…」時代が進むにつれ軽快で力強く坂道を登って行く…一括りにして言えばそんな違いがある。

 

 で、そうした事から1965年モデルに強引な走りを強制してはイケないよ。主役はあくまでトロフィーだ。スロットル開度1/8〜1/4、更に1/2辺りの開け初めに慎重さをもって操作する…回転数が上がりスロットルへの反応の良さを見せたならじんわり且つ大胆にスロットルを開けて行く、「ズバズバズバズバズバズバ!…チャッ…ズバズバズババッバッバッバッバッバッ!…」それは走る…決して遅いなんて言ってない。ふくよか且つ大胆に走る…。ボンネヴィルにはない、後のモデルにもない1965 TR6S/Rとしての走りがそこには有るんだ…

 

 …残念な事に皆さんはトライアンフと言えば絶対にボンネヴィルだと言う。これは素人さんほどその傾向が強い。で、この辺りのボンネヴィルの正式な呼称とは「T120/R BONNEVILLE ROAD SPORTS」。対してこのトロフィーとは「TR6S/R TROPHY ROAD SPORTS」となる。この意味が分かるかな?一見するとアルファベットが違っているだけで内容がイメージしにくい当時のラインナップ。その中にこのような優れた設定のトロフィーがあるなんて…Kさんがこの「TR6S/R TROPHY ROAD SPORTS」を愛している理由とは一段上のレベルなんだ… 2020/08/07 布引クラシックス 松枝

 

以下、作業のプチ報告です。是非ご覧ください。

Kさんのプチ報告 その1その2その3その4

 

 「ドーーーンッ!」と、Kさんに大ーきなお土産頂きました、ありがとうございます!松枝
      

2020.07.25 Saturday

1965 TRIUMPH T120R 兵庫県H様 プチ報告その11

 殆どメーカー出荷直後状態 超素晴らしいコンディションだったHさんのエンジン、エンジンのボトムの組立作業を始めてます…

 

 これは完成したクランクシャフト廻り…只の鉄の塊のようですけど、いろいろとやる事ある訳です。

 

 クランクシャフトに使われるベアリングは四つ、そのうちの二個がこのメインベアリング、両側にそれぞれあります。で、取り外しているモノがこのモデルに使われていたボールベアリングで両側共にボールベアリングが標準、道路事情の悪い道を走る1950年代辺りではこれで充分なモノでした…

 

 しかし耐久性の向上を目的に1966年からドライブサイドのみローラーベアリングに変更になる。この性能差は非常に大きい。エンジンの性能も徐々に上がり走行距離も長くなる時代への対応、普通ならこの強いローラーベアリングへ躊躇なく交換すればいい。けれどこのエンジンはメーカー出荷から3000マイルも走ってない貴重なエンジン。「オリジナルのボールベアリング、使える状態なんだから使ってやれよ!…」それがクラシックモーターサイクル界のフェチな想い…「それもいいけどな…」Hさんの顔を浮かべながら思考する事しばし…そして私はローラーベアリングへと交換しました、それがHさんの為だからです…

 

 で、これは四つあるベアリンクのもう二つ。で、これはこのコネクティングロッドのビッグエンド、皆さんのとすこーしだけ違ってます…

 

 分かりますよね?…これは㊙です。

 

 そしてクランクシャフトの中にはコネクティングロッドの大端部への給油の為に細長いトンネルが設けられています。で、一応いろいろの為にとこのようなチューブが入っている。で、そもそもここは一生開ける事がない事を前提に設計されている…なので取り外せるような形にはなっていない…よって取り外すにはぶっ壊さなきゃならない時もあるのです。きれいに外せる事もあればそうでない事ある。で、壊してしまった場合には新しく交換する事にもなる…

 

 これがそのオイルラインのど真ん中、チューブが入る場所です。以前のプチ報告にあった少量のスラッジもスッキリと清掃していますよ…

 

 そして、オイルチューブを入れた状態、固定用の穴と穴を合わせなきゃイケませんね…

 

 上に置いてあるのがオリジナルのプラグ、ここは新たにへクスキャップタイプのプラグを入れる。これだと素人さんでも簡単に外せる訳です。…しかし次にこの作業をするってのはいつ?誰が?そんな事は全く分からない。けれど誰かさんが「おーっ便利!…」とすらすら作業が進む…自分に利益が被らなくても、結果このボンネヴィルのリスクが少しでも減ってくれりゃあそれで本望…メカニック愛ってのはそう言うものなんだな。
 

 Hさんのボンネヴィル、クランクケース廻りのメネジの破損はたった一ケ所。ドリルでもんで下穴開け、更にタップも切ります。

 

 これが中に挿入するインサート、分かり易いように途中で止めてみました。材質はステンレスをはじめ幾種かありますが自動車エンジンに適したステンレスを選んでいます。で、ヘリサート加工とは只単にネジの修復だけではありませんよ。ボルトやスクリューを締めつけた応力がこのインサートを通して分散する!ここが大切。そして摩耗にも強く脱着を繰り返しても微動だにしない!そんな高い耐久性もある訳です…

 

 で、これが挿入済み。一見すると全く分からない感じになります。このような極端に肉厚の薄いトライアンフのケースでも以後の使用に絶対的な安心感を与えてくれますね。因みに、分解組立作業を頻繁に行うレース用のエンジンでは予め全ての箇所をヘリサート加工するなどしますよ(2000年以前の話し、今は知りません)…
 

 そして、クランクケースにクランクシャフト、及びカムシャフト2本をセットしました。ご覧くださいケースの端面を。キラキラ♫〜全く美しいほぼメーカー出荷時の状態、すばらしいです。で、この大きなフライホイールはユニット650としては最も重い部類、これがアーリーモデルのふくよかな走行感覚を生み出す根源ですね、すばらしいです…

 

 そして車体に載せましたよ。Hさんのボンネヴィルに初めて「いのち」が載りました、イイ感じです…で、この後、ギアボックス、プライマリーチェーンケース、シリンダー&ピストンの作業へと進んで行きます…松枝
 

2020.07.23 Thursday

1965 TRIUMPH T120R BONNEVILLE 兵庫県Hさんプチ報告その10

 兵庫県Hさんのボンネヴィル、前回の組立作業に於いて1965年来初めて分解するボルト&ナットに唖然とした…亜鉛メッキがギラギラ残る「布引重要文化財級」の素晴らしいモノでしたとご報告致しました。今回のエンジンの分解作業でもやってくれましたよ…

 

 皆さんはメーカーから出荷された直後のエンジンを分解した事ありますか?各ボルト類を取り外し軽く叩くだけで「コーーーン!」と簡単にクランクケースが割れるのです。それも走行距離の少ないことが条件、このエンジンってそうなんです...

 

  クランクケースの内面にご注目ください。1965年に製造されたエンジンでこんなに汚れていないなんて普通じゃありません。そして左側の汚れはエンジンの外、ドライブチェーンやスプロケットの油汚れ、これは当然あるモノ…

 

 普通1960年代からの汚れの場合洗油とブラシで洗っても頑固に汚れは落ちません。そして更に洗浄剤に一ヶ月くらい漬け込んで再び洗油とブラシで洗う…それが右側のクランクケース。ところが、左のHさんの方はブラシで洗浄するとスルスル汚れが落ちていく、まるで数週間前の汚れのように…

 

 この左側の穴はフレームに固定されるところ、1960年代から何度もエンジンは降ろされこのように跡がつく訳です…

 

 そしてこれがHさんのケース、この意味って分かりますか?…(左端にあるのはメーカー出荷前の傷、当時はこんなの普通にあります。)

 

 これはプライマリーチェーンケース側の後端、クランクケースとエンジンプレートとの固定のボルトが通る穴…

 

 そしてこれがHさんの同じ場所…双方共に一度も外された事が無い事を意味しています。

 

 ここはドライブチェーンがスプロケットにグングン廻される過酷な場所。チェーンのオイルが飛び散り汚れて当たり前の場所です。一ヶ月強かけてようやくこの美しさになりました…

 

 そしてこれがHさんの同じ場所、たった10分でこの美しさです…

 

 で、この辺りはこうしてドライブチェーンの当たった跡がつきます。(言っときますけど、このケースも現存するトライアンフの中では全然良い方です。普通はガリガリでもっと酷いんですよ。)

 

 そしてこれがHさんの同じ場所。チェーンの跡が全く無いって分かりますか?…

 

 普通ドライブチェーンが緩んだり、切れたりしてこの部分は大体欠損するんです。右の方が一部なくなっている…(リノルド社製のチェーンや当時のチェーンはよく切れる、入れてる人注意して)。

 

 そしてこれがHさんの同じ場所、欠損どころか当たった跡すらない。本来のこの場所の形状を初めて見る人も大勢いる事かと思います…

 

 エンジンを脱着する場合、傷をつけないような作業を全ての者がするとは限りません。いや、逆でほとんどの者がこうして傷を着けます(左のケース)。そして右がHさんのケース、脱着による傷は全くありません…

 

 とにかく開けた瞬間に「汚れてねー!」自然な錆の風体が高感度抜群なんです。赤い液体ガスケットもワニス系の当時のものですね。
 

 クランクのジャーナル部を計測すると「まったく減ってねー!」規定値の中でも優良数値、走ってないんだもの…

 

 コネクティングロッドの大端部のシェル、ホワイトメタルの摩耗もなく、丁度アタリがついたところ。当時のオイルからすれば非常に優秀な状態…

 

 これはクランクシャフトにあるオイルチューブのプラグ。御覧のように工具の跡もありません…

 

 チューブを取り外しますと、スラッジはあります。しかし、これ手前に寄って厚みがあるだけでこの後ろには殆どスラッジ無いんです…

 

 では結論です…アメリカ人のお父さんが若かりし頃に買ったはいいものの何十年もガレージの肥やしになっていた…それを息子が免許を持つようになって乗ろうかと…「これカッコ悪いから色塗り替えようぜっ!」と友人と一緒にチョッパー風にしようと改造初めて、更にペンキと刷毛と缶スプレーで塗り替えた…しかし、彼女ができたり大学行ったりで家を出て行く…おふくろさんが「もう邪魔よ、なんとかして!」それを私が手に入れた…どうですか?大体当たってるはずです、一応妄想です。

 

 で、ポイントは車体からエンジンを一度も降ろしてないところと、更に走行距離が殆ど無い事。中をみるとどう考えても1500マイル、3000キロ程度しか走っていない。これはですね、外的要因や金属疲労的に脆弱なブリティシュの場合には絶対的に有利な点です。例えばベアリンクを何度も脱着されたり、ネジを壊されたり、さっきのドライブチェーンによって欠損があったりするものは将来に向けてなにかと不安要素を抱える訳です(それは皆さんのブリティッシュもそうですよ)。しかし、Hさんの場合1965年に立ち帰れた訳です。外装を除いて車体にエンジンは走行距離1500マイルの状態。これはですね、望もうと思っても望めない事=「運」なんです。結局Hさんは今で言うところの持ってる人って事になりますね、良かったです。この後パーツを注文し届いてから再開致しますよ。松枝

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